お守り

下ばかり向いて歩くので
予想外のものを見つけてたじろぐことがある
妙に心に引っかかるもの
その場を立ち去りがたくなるものを見つけた時
ひょいと拾って持って帰ってしまう
そのせいでがらくたが増えていく
中でも特に数が溜まってきたものがあって
それは「お守り」である
交通祈願、安産、縁結び、えんぎり
厄除、方除、恋、神璽、御守護などと
様々な文字、様々な意匠があって飽きない
これらを拾うことで自分の行末が変わるとか
人の運命を背負いこんだり
なんらかの厄を引き受けてしまうとか
そういった考えは持っていない
ただ、たとえばこの世のすべてが死に絶えて
世界中のあらゆる場所が暗闇に包まれた時
このお守りたちによって
そこだけほのかな明るさに包まれ
人間のいない空間を示している
そんなことを夜更けに考えたりする